2017.02.22更新

          DeveloperWeek2017

 ベイエリアでのソフトウェア開発者の祭典、ディベロッパー・ウィーク2017(DeveloperWeek2017)が2月11日から15日に渡って開催されました。同会議 は今年で5回目で、約9千人のディベロッパーやエグゼクティブたちが集まりました。ディベロッパー・ウィークは昨年に続きIoTやモバイルに関するものから、 今年は新たに人工知能(AI)が加って、 ソフトウェア・エンジニア向けに機械学習やディープラーニングに関するワークショップもありました。

 開催初日11日の日曜は、プログラマーやデザイナーのチームがプログラミングに没頭するハッカソンが開催。週末開けで月曜の13日から会場になったのは、観光客で賑わうウォーターフロントを背景にしたホテルのハイアット・セントリック・フィッシャーマンズワーフ・サンフランシスコです。今年の話題は、初めて議題に導入されたAIについてのワークショップや講演。アマゾンのエコー、ディープラーニング、AIウェッブサービシズ、ビッグデータなどが議題に上がり、会場は盛り上がりました。先頭はロサンジェルスのリバーマン・ソフトウェア(Lieberman Software)で働くエミリー・ラムさんがワークショップの開催。 ラムさんはUCLAを卒業後、アマゾンのアレクサを使って、プログラミングのコンテスト、ハッカソンに勝ったことが3回ある覇者なんです。彼女が働くリバーマンは、サイバー攻撃を自動に防ぐシステムを誇るセキュリティ会社です。ディベロッパーたちはラップトップを会場に持ち込みつつ、彼女の講演とスライドを貪るように見ていました。アマゾンエコー、アマゾンタップやドットをカスタム化して、アレクサのアプリをパブリッシュすべく、皆、作業に熱中されていました。

 午後からはオーストラリアでピザを携帯から自動化でオーダーできるシステム構築で伸びた ThoughtWorks社から、スティーブン・ロゥ氏が講演者を務めました。ソフトウェア・エンジニアがどうやってマシーン・ラーニングを開発に適応すべきなのかに関し、話しました。続いて、AI開発で知られるBuilt.io の技術市場開発部長のパーテイフ・パテル氏が自動化された業務を行うアプリケーション・ソフトウェアのボット開発を含め、AIの利便性などについてです。彼はロボティックスやレースカーに関する技術でも知られています。 ちなみにボットとは、人と会話したり、人の手を煩わせることなく、数倍も高速でネット上のデータを集めて分析したり、自動的に業務を実行します。日が暮れかかった4時には、キャプトリシティ社のマシーン・ラーニングを率いるラメッシュ・シドハーンが医療用画像を機械学習で分析した経験を踏まえ、人工知能の活用などを語りました。

 翌日14日から会場は、ホテルからエンバカデロにあるピア27の埠頭のクルーズシップ・ターミナルへ、移りました。 オラクルのクラウド・プラットフォーム、ジャバスクリプト、チーフ・テクノロジー・オフィサーによるワールド・コングレス、そして企業の展示で賑いました。中でも目立ったのは 顔を認識し、性別と年齢、気分を即座に分析するマイクロソフトのリアルタイム・クラウド・インサイツなど。今年はディープラーニングやAIを元にサービスを提供するベンダーが増えました。最終日の15日にはソフトウェア開発事業に携わる経営陣の会議だけでなく、バーチュアル・リアリティ(VR)、仮想現実(AR)や、チーフ・テクノロジー・オフィサー(CTO)の会議も開かれました。  

 別件ですが、グーグルがAIへ貢献度の高いテンソーフローの会議を本社のマウンテンビュー市で開きました。数万台のサーバーをまるで1台のスーパーコンピューターとして扱うAIの開発に適した、テンソーフロー(TensorFlow)の開発者会議です。 シリコンバレーは今、AIに関する会議が鰻登りで増えています。

投稿者: Ayako Jacobsson

2017.02.01更新

          Drew

  グーグル、アップル、マイクロソフト、ボックスとクラウドでビジネスを行う会社は多いですが、 そんな中でサンフランシスコ本社で未上場のクラウド・ストレージ会社ドロップボックスは、年間売上げが10億ドルを突破する見通しと発表しました。マサチューセッツ工科大学の学生だった現在33歳のドリュー・ヒューストン氏が2007年に同窓のアラッシュ・フェルドーシ(31)氏と始めたのが同社です。 ヒューストン氏は 昨年夏、現金収支が黒字化したことを既に公で述べています。

  昨日の1月30日にユダヤ人近代博物館で、仕事仲間と何処からでも共同作業できる 21ヶ国語対応のドロップボックス・ペーパー(Dropbox Paper: https://www.dropbox.com/paper)と、ダウンロードしなくてもテラバイトのデータにアクセスし、ファイル検索も可能なドロップボックス・スマート・シンク(Smart Sync:https://www.dropbox.com/business/smartsync)を発表。私は特にこのパソコンのメモリーの容量不足にならないスマート・シンクが気に入りました!でも、このサービスを使うにはもちろんお金が。五人までのユーザーのスタンダードだと、月額12ドル50セント、同じく五人までですが、チーム向けに事務会計のサービスが加わったアドバンスドが20ドル、そして大企業向けのエンタープライズという3つの料金体系になっております。詳しくは以下のサイトをご参照下さいね。(https://www.dropbox.com/ja/business)  

現大統領の移民政策は不支持

  ベータ版から本格的な製品化を公にされたその後、「ユーザーの47%が米国外」と、ヒューストンCEO (最高経営責任者)と外国人記者との質疑応答が始まりました。 今ではヤフー、ナショナル・ジオグラフィックス、ニューズ・コーポレーション、エクスペディア、カヤック、ハイアットホテル、アイスクリームのベン&ジェリー、アンダーアーマー、スポティファイ、インヴィジョンなど20万社がドロップボックスを有料で使っています。世界の5億人が使っているそうで、「大企業から二人だけのカフェのオーナーも」と幅広いユーザー層に支えられているのだとか。特に欧州やメディア企業関連でドロップボックスのユーザーが多いそうです。日本も好きだそうで、「数ヶ月前に行ったけど、また行くよ !」

 そんな世界的なシリコンバレーの会社ですから、イスラム圏7カ国の方々の米国入国を90日間禁止したトランプのエグゼクティブ・オーダー(大統領令)を「 ドロップボックスでは支持しない」とヒューストンCEO。共同設立者のフェルドーシ(31)氏の出身がイランですから、とても心配されていらっしゃるようでした。「社員を守るために、社内にリーガルチームを作りました。我々のチームは密接ですし、社員の家族はとても大切ですから」との心配り。そしてトランプ米大統領との米国における価値観の違いも述べました。共同設立者のフェルドーシ氏は長らく同社のCTO (最高技術責任者)を務められていたのですが、最近フェルドーシ氏はドロップボックスのCTOの座を降りられました。

今は資金調達の必要なし  

 業績が上がり、同じクラウド・ストレージサービスでライバルのボックス (Box)が2015年にニューヨーク証券取引所にIPO (市場公開)しているので、記者たちの質問が「何時上場するんですか?」と矢のようにヒューストン氏に飛び交います。しかし、当然のことながらはっきりした回答はございませんし、具体的なデータも出ません。「ビジネスが健全に伸びている時、 素晴らしいの は自分たちの時間軸で市場公開へ向けて柔軟に対応できる」との優等なご回答。フェイスブックのマーク・ザッカバーグ氏とも友人であるヒューストン氏は、かつてアップルのスティーブ・ジョブズ氏から「ドロップボックスを買いたい」と言われたそうです。その申し出を一蹴された彼は、これからシリコンバレーの次のレジェンド(伝説的な人物)に成長されていかれるのでしょうか?

          journalists

 

投稿者: Ayako Jacobsson