2016.06.30更新

            Kenneth Lin and Bruce Aust

 英国の EU離脱により、ロンドンよりNYの金融界の重みが増すという憶測が出ております。そこで、今日はベイエリアの金融話を扱いたいと思います。日本でも話題の、金融とテクノロジーが融合するサービスのFinTech(フィンテック)のスタートアップ、クレジットカルマのことでございます。クレジットスコアを扱う会社のクレジットカルマは、米雑誌フォーブスが今年度の最有力な企業No.1だとしました。アメリカでは個人の信用度を示すクレジットスコアが低いと、クレジットカードが発行できないだけでなく、家を建てる時にローンの利率が高くなったり、ローンを組めなくなったり、就職できなかったりするほど重要です。クレジットスコアはアメリカ人、そしてアメリカ人在住の人一人一人に与えられるもので、個人の信用度のバロメーターです。 

 サンフランシスコ本社のクレジットカルマが設立される前は、クレジットスコアの確認は有料でした。クレジットカルマではクレジットスコアの確認などのサービスが無料で、同社は広告収入から利益を得ています。現在信用データファイルを持つ5分の1以上に当たる5千万人のアメリカ人がクレジットカルマの無料会員です。同社の企業価値は現在、35億ドルです。クレジットカルマCEOのケネス・リンさんとナスダック副会長ブルース・オーストさんが先月、ナスダック起業センターで講演を行っています。

 リンさんはクレジットカルマという社名をつけた理由を「世で良い行為をやっていれば、自ら良いことが起ってくる」という因果応報の意味で社名をつけたと言います。中国から両親とともに4歳の時アメリカに移住したリンさん。両親はレストランなどで骨身を削って働いて、彼をボストン大学に入れました。大学の頃から起業を何度も行い、Eローンなどクレジットカード業界で働いた彼は2007年、クレジットカルマを創業しました。最初の大手10行を顧客とした時は、「大変だった。簡単ではなかった」そうで、毎月サイトをテストしてリニューアルしたり、柔軟に現実的に計画を変えたり、クライアントと話したり、より良く運営するにはどうするか、どんな所にいても考えているとのことでした。

投稿者: Ayako Jacobsson

2016.06.15更新

            nasdaq entrepreneurial center

 日本から見ると、シリコンバレーではハイテク企業が急速に成長し、チャンスが豊富にあるように見えます。ですが、米国市場は「極度に競争が激しく、とても複雑で、よく誤解され、多くの神話や歪曲が多い」そうです。6月7日、サンフランシスコのナスダック起業センターで、起業のコツを教える講習がありました。最初に自ら何度も起業し、35か国以上の政府に起業訓練を行ってきたミッシェル・メシーナ(Michelle Messina)さんが、同センターで講演しました。彼女は最近、Decoding Silicon Valley (シリコンバレーを解析する)という、SVで実際に何が起こっているのかに関する本を出版したばかりです。

 メシーナさんは、SVの投資家、VC(ベンチャー・キャピタリスト)が普通、起業して上場や事業売却まで10年と良くいいますが、「実際は14年から17年」ともっと長い期間がかかっていると指摘しました。また、SVでは一つのアイディアや新しい技術で、類似のものが既に10社から20社あって、競争が実に激しいです。しかし、大部分のスタートアップは他から殺されるのではなく、自殺する(Most startups die of suicide, not homicide.)のだとか。また、SVでは真似しごんべ(copycat)が大嫌いで、ネットワークが非常に重要視されており、セールス・マーケティングが他の国と全く異なることなど、この地の特徴を次々解説しました。

 続いて、世界4大会計事務所の一つであるKPMGのマネージング・ディレクター、ローラ・ワッツ(Laura Watts)さんが、事業基盤を強化するためにアメリカでの会社設立、財務・税務等を説明しました。「エンジニアの方々は税務を軽視する傾向がありますが、IRS(アメリカ合衆国内歳入庁)が企業を潰してしまうこともあるんです」と、起業で税務法規を遵守することの重要性を訴えました。 アメリカにやってきたインターナショナルな才能に、成功のためのチェックリストやヒントを出し、エンパワーして、シリコンバレーの豊かなエコシステムに入れるよう、ナスダック起業センターには色々な学びの機会が用意されています(http://thecenter.nasdaq.org)。

投稿者: Ayako Jacobsson